セブ封鎖開始当日にミンダナオへ脱出!ギリギリセブ脱出作戦の結末はいかに?

2020年3月15日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の防疫のため、メトロマニラ(マニラ首都圏)が完全封鎖されました。
ドゥテルテ大統領からこの声明が出された時点ではセブの封鎖については言及されてはいませんでしたが、状況的にセブも同じように封鎖されるだろうとは思っていましたので、封鎖が施行される前にミンダナオの実家に一時避難するつもりでいたのですが・・・
セブ脱出作戦の顛末
私の甥っ子がセブの大学に通っているのですが、彼女が3月15日、マニラ封鎖が始まる日にミンダナオ実家に戻るとの連絡がありました。
その時点ではまあセブの全ての学校が休校になったのでそのためだろう・・・と軽く見ていたのですが、その直後、セブ州知事がセブのトラベルバン(移動制限)を行うという報が入ったのです。
セブ封鎖を知って慌てて国内線予約
セブ封鎖の報を受けたのが3月14日(土曜日)
翌日3月15日からメトロマニラ封鎖が始まる前日夜のことでした。
セブ封鎖の概要
- 期間:3月17日から30日間
- 国内線及び船便でフィリピン国内他地域、都市からのセブ入りが禁止
- マニラ、ドマゲテは即日、カガヤン・デ・オロ、レガスピ、クラークからは3月16日から、その他の全線は17日からセブ入域停止
- 映画館、闘鶏場の一時閉鎖
- 飲食店は9pmを超えての営業は禁止
- 夜間外出制限(10pm~5am)
- 全ての学校の休校(語学学校含む)
予想していたよりはるかに早いセブ封鎖の情報に慌ててセブパシフィックのサイトを開き、ミンダナオへ帰省するフライトの予約に走ったものの、既に15、16日はunavailable(利用不可)
残っていたスケジュールは3月17日、18日の2日間のみ。
セブの封鎖が始まるのが3月17日午前0時ですので、「これ飛ぶのか?」と半信半疑で予約ボタンを押すことができません・・・
通常1500ペソ(3,000円超)の料金が4500ペソ(1万円超)という割高な値段、18日は若干安く2500ペソ程度(6,000円程度)だったので、飛ぶなら18日でもいいかなと安易な判断をしそうになりますが、やはり万が一キャンセルになっても困るので、この時点で取り急ぎ3月17日の便を予約します。
予約してみたのものの、まだ本当に飛ぶのか心配だったので、その後色々調べた結果、3月17日の封鎖後もセブパシフィックの救済措置により、限定的に一部の便を運航するという情報を入手します。
At the moment, Cebu Pacific continues to operate a limited number of flights from hubs in Manila, and Cebu. For FULL LIST, click here — https://t.co/25GpJzuqXx
— Cebu Pacific Air (@CebuPacificAir) March 16, 2020
リンク先の公式サイトの情報は既に更新されてしまっていますが、私が3月14日夜に確認した時点では、以下のようなセブ国内線の限定便リストが掲載されており、この中に私のミンダナオ実家のある空港も含まれていたため、これで一安心・・・
とは言え、突然キャンセルになった!というメールが飛び込んで来ることも十分あり得る状況だったため、Webチェックインが解放される出発前72時間前まで眠れる夜を過ごすことになります(一晩ですが(笑)
セブ脱出出発準備
セブ封鎖は3月17日から30日間なので、まあこれまでも毎月必ず帰省していた訳でもなく、1ヶ月帰省しない時もあったのですが、今回はやはり事情が全く異なります。
マニラ完全封鎖の声明が大統領自ら行われたほぼ数日でその封鎖内容もどんどんアップデートされ、セブを含むその他の地域でも「コミュニティ検疫」による封鎖が続々と発表されていったからです。
封鎖自体はいずれも約1ヶ月ですが、状況により解除を早めることもあることもあれば、延長することもあり得るという状況です。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は既にパンデミック段階に入っており、世界中で都市封鎖などの厳格な対応が続々と発表されています。
世界的な状況を見ても1ヶ月で収束し、これまで通りの元の生活に戻れる可能性は現時点ではほぼないといっても過言ではないのですね。
普段は引きこもりで特に外出することも、帰省以外で国内移動することもほぼないので、1ヶ月ぐらいの封鎖は特に支障があるとも思えないのですが、このような状況下でセブ封鎖が予定通り1ヶ月で終了する保証はありませんし、事態が収束するとも思えません。
このような状況下で何も無理にセブに留まる理由もなく、いざという時には義家族の助けも得られるミンダナオにいた方がいいだろうとの判断もあり、今回は当初からセブ一時引き上げも視野に入れた帰省を考えていたのです。
通常ミンダナオに帰省する際にはラップトップなど仕事道具一式程度を持っていくだけなので、預け入れ荷物も特になく、出発直前にバックパックにパソコンを詰め込む程度の出発準備で済むのですが、今回は封鎖が解除されても状況によってはそのままミンダナオにとどまることも想定し、家財道具一式を持ち帰る、ほぼ引越しに近い移動になります。
家財道具といってもテレビや冷蔵庫などの家電や家具類は部屋に備え付けで私のものではなく、持っていくのは仕事道具一式や洋服類、こまかい備品程度・・・スーツケース1個で済みます(笑)
一応非常食としてラーメンや味噌汁、マヨーネーズなどのソース類、お菓子類など日持ちする日本食を町屋マートで買い込み、預け入れ荷物2個+バックパックという出発準備も済ませました。
Webチェックインでいよいよ出発できる?
セブパシフィクでは出発の72時間前からWebサイト上でチェックイン手続きを済ませることが出来ます。
これをやっておくかいないかで、当日の手続きに雲泥の差がでるんですね。
Webチェックインを済ませておけば、その場でボーディングパス(搭乗券)が発行されるため、当日チェックインカウンターの列に並んで手続きをする必要がありません。
預け入れ荷物(チェックイン荷物)がある場合は、専用カウンターで荷物を預けるだけ。
空港に着いたらほぼダイレクトで荷物検査 > 搭乗口まで行くことができるので、私は常にこのWebチェックインを事前に行います。
セブパシフィックの専用アプリをスマホに入れておけば、ボーディングパスもそのままアプリ上で表示してくれるので、それと身分証明書を提示するだけで飛行機に乗ることができるので、搭乗時刻ギリギリに空港に行き、搭乗待ち時間もなく搭乗までダイレクトイン!なんてことも出来ちゃいます。
このWebチェックインは、72時間前になった段階で自動的に登録してあるメールアドレスに案内が届くので、今回はその案内が届くのをドキドキしながら待っていました(笑)
正直この案内が届くか?それともキャンセル通知が来るか?半々だなと思っていたので、通知を待ってWebチェックインができるまでは全く安心できない状況だったのです。
無事案内も届き、Webチェックインも完了!これでひとまず安心だったのですが・・・
封鎖当日のガラガラなセブ空港
Webチェックインも無事済ませられたものの、状況的にはまだ流動的です。
ツイッターではマニラのロックダウンがアップグレードされ、域内の移動もかなり制限される、GRABが運用停止した!みたいなツイも流れてきたので、慌ててGRABアプリを開くと普通に開けたので、これで空港行きも安心。
既にWebチェックインも済ませているので慌てて空港に行くこともないのですが、今回の状況を踏まえ少し早めにGRABを呼び空港に入ります。
まあ予想はしていたことですが、空港はガラガラ、出発タイムテーブルも見事にCancelledの赤文字がズラリ。
おかげで一度も並ぶことなく預け入れ荷物からセキュリティ検査を通過し、ボーディングゲートへもサクッと入ることができました。
この時点で朝6時、搭乗時刻は7時でしたのでまだ1時間余裕があるので、出発待合場をブラブラしてみると見事に全店閉店・・・自動販売機の電気すら入れられておらず、水も買えない状況です。
出発便を見てみると、この同時間帯に飛ぶ便は、カティクラン(ボラカイ)、シアルガオ、クラーク、そして私の実家があるオザミスの4便なのですが、マニラやダバオ便がないので、文字通り待合場はガラガラでした(こんなの過去見たことない(笑い)
そんな状況の中、突然名前を呼ばれ、すぐに搭乗カウンターまで来いとの指令・・・行ってみると預け入れ荷物の中にパワーバンクか何か持ち込めないものが入っているとのことでセキュリティまで連れて行かれます。
問題はスーツケースにしまい込んだ荷物の中に電子ライターが入っていてその場で没収(泣)
思い出の品で今回のセブ引き上げを想定して荷物に入れ込んだ物だったのですが・・・
一応抵抗したんですけど、やはりセキュリティに関わることなので断念し、引き続き搭乗時刻を待ちます。
不穏な遅延のアナウンスが続き・・・
搭乗時刻が近づいてきたので、搭乗口へ向かい搭乗時刻を待つものの・・・10分、20分と搭乗時刻を過ぎていきますが、一向に搭乗が始まる兆しなし。
まあセブパシフィックではもはや恒例の遅延ですし、状況が状況なので機材繰りがうまくいってないのかなと思ってはいたものの、あらたな搭乗時刻案内はなくひたすら待つこと1時間。
どうやら私の便だけではなく、全便遅延しているらしく他の便の乗客たちもブラブラ待合場内を徘徊し始めます。
食料、飲料を求めるもなんせ全店閉まっているので、水すら買えないという状況の中、レチョン料理のチェーン店ZUBUCHONが開き、MAMI(フィリピン風ラーメン)などの軽食と飲料を提供し始めたので水とオレンジジュースを購入し、引き続きアナウンスを待ちます。
そして搭乗時刻1時間半程度を過ぎた頃ついに・・・
全便キャンセル
理由は「本日から施行されたセブ封鎖に伴うもの」とのことでしたが、まあそんなことはわかっていた上で運行を決定し、乗客を既に空港まで受け入れていたのですから「今さらそれはないやろ」と思いつつも不思議なことに怒りは感じず、とっさに頭に浮かんだのは「セキュリティで没収されたライターをどうやって取り戻そう」、「預けた荷物は?返金手続きしなきゃ・・・」みたいなこと。
この時間帯飛ぶ予定だった全4便が全てキャンセルとなった訳ですが、これも不思議なことに乗客と係員が揉めるようなことも一切見られず、みんな粛々と手続きの列に並ぶみたいな感じでした。
セブパシフィックのキャンセルは以前にも経験がありますが、このようなキャンセルが発生するとローカル乗客たちが係員に詰め寄るみたいな光景が展開します。
日本行の国際線では、キャンセルどころか出発時刻1分すぎて搭乗が始まらない時点で日本人乗客が係員に詰め寄るみたいなこともあるのですが、今日はおそらく全便を通じて日本人は私だけだったようだったのでそのような日本人の姿を見ることもなく(笑)
シアルガオ便があったので、乗客には白人も多くいたのですが、アナウンスが発せられた時点でみんな寡黙に出口に向かって歩き出すみたいなほんと不思議な光景でもありました。
まあ非常時で仕方がないということをみんな理解していたようですね。
セブパシ恒例キャンセルや大幅な遅れがあった際のお詫びのジョリビーも運び込まれましたが、それほど殺到することもなかったようです。
大いに助けられたキャンセル手続き
まずキャンセルアナウンスが出た時点で私の頭をよぎったのは「あんだけ苦労して手配したのにセブを出られない」ということではなく、没収されたライターをどうやって取り返そうというもの(笑)
なんせ荷物を預け入れた後のセキュリティ検査で引っ掛かり没収されたものなので、預けた荷物と同時の戻ってくるはずもなく、係員に聞いてもそれはセブパシフィックの範疇ではないみたいな回答しか得られなかったのですね。
没収された場所はわかっているのでそこに戻れればいいのですが、なんせ警備が厳しい空港内、そこは乗客が自由に出入りできる場所にもありません。
そんなことを考えながらチェックインカウンターへ戻ると、そこには返金や変更手続きにズラっと並ぶ全4便の乗客たち。
Webチェックインから搭乗ゲートまで全く並ばずにスムーズに入れたのに、まさか改めてここで並ばされるとは夢にも思わず(笑)
30分程度並び自分の番が来た時にまず没収されたライターのこと、返金処理を伝えると現金で払った超過荷物分は精算所で現金で取り戻せるが、ネットでデビットカードで支払ったチケット分は外のチケットセンターで手続きしてくれと言われます。
手続きはわかったがまずライターをなんとかしてくれと頼みこむと専任の係員をつけてくれて、先ほど没収されたセキュリティ室まで連れて行ってくれることに。
チェックインカウンターの係員が別の係員を呼び、私の問題を全てサポートしてやってくれと的確に指示を出し始めた時には正直びっくり。
セキュリティ室まで歩いて行く間、その彼はライターから返金処理まできっちりサポートしますから安心してください!と心強い対応で、実際まずライターを無事取り戻してくれます。
こんなにスムーズにことが運ぶことはフィリピンでは珍しく(笑)、ましてやイレギュラー対応だったので心配だったのですが第一難問は彼のおかげで突破することができました。
非常に気持ちの良い係員で対応もよく、ほんとありがたいと思ったのでその場でチップをはずむと飛び上がらんばかりの笑顔で、その後の預け入れ荷物の引き取りから超過手荷物分の返金までしっかりサポートしてくれました。
最後の難関はデビットカードで支払ったチケット分の返金ですが、ここでも彼はいかんなく実力を発揮してくれます(笑)
チケットセンターには既に大勢の乗客たちが返金処理待ちに列を作っており、私が引いた待合番号は75番・・・まともに待ってたら何時に帰れるかわからんぐらいの待ちですね。
キャンセル便にシアルガオ便があったからだと思われますが、白人が多く待っている状況です。
もし私一人だったら諦めて帰ってしまったと思いますが、今日は例の彼がサポートについてくれたいます。
75番の待合券を持ってきた彼がその数字をひっくり返してくれるだろうと確信し、その期待通り彼は次の瞬間15番の券を持って来てくれます(笑)
先ほど払ったチップは実はこんな状況に対応してもらうためなのですね。
サポートしてくれた彼はセブパシフィックのカスタマー対応係で、当然各持ち場に顔が効きます。
ライターが没収されたのはセブパシフィクのデスクではなく空港セキュリティだったのですが、彼のおかげで難なく回収することができました。
チケットセンターではまずガード(警備員)から待合番号券をもらってその順番が呼ばれるまで待つのが通常のプロセスですが、彼はそのガードにも顔が効きます。
その先の手続きカウンター係にも当然顔が効くので、結局彼は15番目もひっくり返し、ものの10分程度で手続きカウンターまでたどり着くことができたのです(笑)
彼のサポートが無かったら数時間待ちは避けられない状況を数十分ですからチップの効果は絶大です。
そんな手続きをサポートしてくれた彼に上げたチップは500ペソ(1000円超)。
チップの額としてはかなり高額ですし、彼の日給をも上回る金額です。
通常はもちろんこんなチップは払いませんが、彼の対応は私にとって完璧でした。
ちなみにこの時、以前予約し新型コロナウイルスの影響でこちらからキャンセルした日本一時帰国用の返金処理が滞っていたため、この件も相談し解決を依頼することができました。
チケットセンターでは今回のキャンセル分だけではなく、これを依頼することも想定していたので一気に解決することができたのですね。
たかが1時間程度私のサポートをしただけで日当を超えるチップを得た彼、自分でもできるけど、時間労力が半端ない手続き関係をサクッと終わらせることができた私、まさにWinWinシチュエーション(笑)
長年の経験で取得したフィリピンライフハック
実はこれは長年フィリピンに関わって来た私のライフハック術でもあるのですが、過去この手で数々の難関、難題を解決してきています。
ビザ関連含め特に行政と関わり合うような手続きではまさにこのようなテクニックを駆使するのとしないのとでは手間暇に大きな差が出ます。
まともに単独で手続きを済ませようとすると、あっちこっちたらい回しにされたり、とにかく手続き上のプロセスもわかりずらい上、きちんと要件通りの書類を揃えてあるのにこれが足りない、あれが足りないと難癖つけられたりすることもあるのですが、ローカルサポートがあればびっくりくらいサクッと進めることも出来ます。
街中でもそうですが、最前線で私たちにサービスを提供してくれるローカル達の給料は決して高くはありません。
大半が最芸賃金の日当300ペソ超(700~800円程度)で働いている訳ですから、普段は得に過剰なサービスは要求しません。
普段多く接するタクシーの運転手、スーパーの店員、レストランのウエイター、ウエイトレスたちに日本のような過剰対応を期待することもありませんし、少しぐらい対応が悪くても最低限のサービスさえ提供してくれれば充分だと思っています。
そこに気持ちの良い対応、期待するより良いサービス(早さや質)を提供してくれたりする場合はチップを余計に払ったりもします。
逆に最近はめったに遭遇することもなくなりましたが、メーター使わずにぼったくろうとするタクシー運転手みたいな奴には断固とした態度を取ります。
実は帰りのタクシーで乗車した瞬間いきなり300ペソね(メーターで200ペソ程度の距離)みたいなメーター回さずぼったくろうとしてきたので、その場で「メーター使わないならお前のタクシーは使わんからここで降ろせ!」と要求しメーターを回させました。
もちろんチップなど払いません。
今回のセブパシフィックの場合は、担当してくれた彼がとても気持ちの良い青年で誠心誠意対応してくれたことに加え、彼との会話の中で私が期待する速さやめんどくささを彼が解消できるとわかったからで、実際に彼はその期待に100%応えてくれました(笑)
やみくもにチップを払えばいいということでもなく、そこは人柄や実力、提供されるサービスの質をきちんと評価して適正なチップを払うことでなにかとめんどくさいフィリピンライフをより快適にすることができます(笑)
ちなみにその彼の名誉のために言っておきますが、彼はたとえチップを弾まなかったとしても、仮にチップをあげなかったとしても同じ対応をしてくれていたと思います。
彼は「自分の仕事は困っている乗客の方々のサポートをすること!」ときっぱり言い切っていました。
実はこのようなことは今回が初めてではなく、今住んでいる集合住宅の部屋で何か問題があると管理事務所からエンジニアがすっ飛んできてくれて即対応してくれます。
そんな時はチップを払おうとするのですが、彼らは「これが私の仕事ですので!」ときっぱりチップを断るケースも。
まあ給料安いから仕方ないとはいえ、ダラダラ要領の得ないフィリピン人もまだまだ多いのですが、こういう若者たちに接する機会が増えてきたのは喜ばしいことですね。
ほんとフィリピンも変わってきました。