ヨランダから学ぶフィリピンでの台風対策

2013.11.14

フィリピン史上最悪の被害をもたらした台風ヨランダ。発生当初から史上最大規模と警戒され、ルート的に全く他人事ではなかったのでずっと動きを追ってきました。まだ被害の全容すらつかめていない状況ですが、今後の対策、警戒感を持つためにも、いまわかっている情報をもとにヨランダの概要をまとめました。

 

史上最大規模台風ヨランダの威力

2013年11月8日金曜の朝、史上最大規模と警戒されていた台風ヨランダ(アジア名ハイエン)がフィリピン中部の島々を襲いました。

事前の予報では最大秒速87m、最大瞬間秒速98m、中心気圧は900hPaという凄まじい威力のヨランダは2005年にアメリカに甚大な被害をもたらしたハリケーン・カトリーナに匹敵、それ以上の被害をもたらすと警戒されていました。

結果としては、フィリピンに上陸した際には最大風速は秒速87.5m、最大瞬間風速は105m(米軍合同台風警報センターの算定)にも達していたとみられており、カトリーナの3.5倍の勢力でフィリピンを襲ったことになります。

フィリピン史上最悪の被害

中部地方に上陸した直後に放映されたニュースでは、まさに津波に襲われているかのようなレイテ島タクロバンの様子が映し出されていました。

特に被害が最も大きいといわれているレイテ島では建物の80%が倒壊、同島タクロバン市はほぼ壊滅状態・・・台風通過から3日経過した11/11現在において、被災者は950万人、60万人もの人が家を失い、10000人を超える死者という被害報道が出ていますが、まだまだ被害の全容はつかめておらず、今後被災者、犠牲者の数もさらに増えていくことも予想されます。

被災地域の現状

被災地域ではインフラ機能、交通網も完全に崩壊、食料や水不足による略奪行為なども発生。
道路には遺体が散乱し、病院も患者であふれかえっているいる状態で衛生状態も極めて悪く、台風通過から3日たった現在においても被災地域の混乱は続いています。

飲まず食わずで死者からも略奪、フィリピン台風被災地

このような事態を受け11日、アキノ大統領は「国家非常事態宣言」を発令。被災者の捜索や救援活動を加速させるとともに、警察・軍隊を投入し、治安維持にも乗り出しています。

昨日あたりより世界各国からの救援・支援声明も続々と発表され、日本からも政府、地方自治体、そして個人からの支援、募金活動も活発化されてきています。

それらの救援活動が一刻も早く被災者に届くことが望まれていますが、インフラ、交通網の壊滅は非常に深刻で、まだなお救助活動は難航しています。

11月12日現在、レイテ、サマール島に居住している邦人106人の安否が確認とれていないという報道もあります。106人というのは在留届ベースなので、届けていない人も含めるとさらに多くの日本人の安否が不明という状態だと思われます。

事前に警戒されていたヨランダの威力

史上最大の猛烈な台風ヨランダは、結果的にそう呼ばれるようになったわけではなく、発生直後には既にそうなることは予見されていました。

フィリピン中部地方を直撃したのが8日ですが、さかのぼる事11月6日の時点では既に猛烈な台風が同地域を直撃するということは判明しており、フィリピン政府も警報を発令しています。

また日本の外務省「海外安全ホームページ」にて注意喚起も出されており、在フィリピン日本大使館からも在比法人に対してメールで注意喚起を行っています。

フィリピン:台風30号の接近に伴う注意喚起

私が今住んでいるエリアは直撃こそ免れましたが、発生当初ではもしヨランダが南寄りのルートに進めば、直撃とは言わずともかなりの被害が出ることが予想できていたので、私もこの時点でルートの追跡や情報収集を始め、ツイッターでも経過などをツイートしていました。

その過程で事前にフィリピン政府より台風警報が出されていること、そして直撃が予想される地域には退避勧告が出されていたこと、そして避難も進んでいたという報告も目にしています。

ちなみにフィリピンでは、日本と同様、過去に幾度となく台風被害を受けているので、政府による台風警報も整備されています。

フィリピンの台風警報(THE PHILIPPINE PUBLIC STORM WARNING SIGNALS)は全4段階で、直撃が予想される地域には事前に最大のSIGNAL4、直撃を受けたサマール、レイテ、セブ、ネグロス、そしてパナイ島の直撃ルートにはこの最大のSIGNAL4が出されていたのです。

にも関わらず史上最大規模の台風ヨランダはフィリピン史上最悪規模の被害をもたらしました。

被害が拡大した要因

事前に警戒されていたにも関わらずこれだけの被害を及ぼした要因には、現時点でいくつかの理由が上げられています。

まず避難勧告に対し、避難を行わない人たちがいたこと、またフィリピンの地方都市の都市構造、建建築物構造の脆弱性が考えられます。

沿岸部に多くの集落があること、そしてこれらの集落では、大半がBahay Kuboと呼ばれる竹で作られた伝統的な高床式母屋が大半。竹だけで作られているので、雨風にもろいことは言うまでもありません。

もっとも最大風速105mともなるとBahay Kuboじゃなくても、普通の木造建築、ヘタすれば老朽化したコンクリート建築でさえ崩壊してしまいそうですが・・・

そして一番の要因は「Storm Surge」と呼ばれる高潮被害。

これは私も気象学者などからの報告を見て初めて知ったのですが、ヨランダの気圧そして強烈な風によって想定以上の高潮が発生し、まさに津波のように沿岸部の町を飲み尽くしていった・・・ということのようです。

確かに被害が最も深刻と言われているレイテ島の台風直撃時の映像、そして去った後の写真を見ると、まさに東日本大震災で東北地域を襲った津波の状況と酷似しています。

デジタル台風:2013年台風30号(ハイエン|HAIYAN)

地震と違い、事前に予報、警戒が可能な台風ですが、今回の台風はそれをはるかに上回る規模であったこと。

国としての日頃からの災害・警戒対策の不備に避難を求めることもできますが、今回の台風の規模、そして今のフィリピンの国力からしても、被害を食い止めることは難しかったと考えざるをえません。

救援・支援、そして復興

国際社会の支援も続々と発表されていますが、現時点においては不明者の捜索が続けられ、避難している方々の支援活動も行き届いていない状況が続いています。

私の町は幸いにも直撃は免れ、被害もなく普段通りの生活が送れていますが、周りには親戚、知人と連絡が取れない、家族が家を失ったなどという人もたくさんいます。

場所によっては電気の復旧だけでも数か月かかるとの見込みもあるようで、まだまだ復興の道筋すら立たない状態ではありますが、まずは被災された方々の安全が確保され、食料・水が十分に行き渡る支援が届くことを願うばかりです。